フォロアーの皆様からのご要望で基本的なワックスの彫り方をご説明します。
■はじめに
「ちょっと器用な人がそれなりに頑張れば出来る気がする始めてのハードワックス講座」
今回はこんな前提で始めさせていただきます。
絵心もしくは立体把握能力があればモアベター。
本来は目の前で道具を使っているのを見るのがベストです。
銀細工の教室や体験教室で学ぶべきですがなかなか時間もありませんよね。
ある程度説明を受けたら感覚で出来るくらいの器用さがある人ならわりとイケるかも?
そのくらいの内容だと捉えてください。
基本的には実際に始めてみたけどなんか上手くいかない!
そんな方をターゲットとしています。
その為、ロストワックスとはなんぞや?
という大前提のお話は割愛します。
その辺りは「
ロストワックス」で検索してみてくださいね。
■道具の準備
ワックスモデリングに使用する最低限の道具はワックス用糸鋸とヤスリとスパチュラです。
それに加えて幾つか合った方が良いアイテムをご紹介します。
★彫金机とすり板
地金を使った彫金にも使います。
彫金机にはこのようなコの字型のすり板を固定する金具がついています。
ですが机はとても高価ですので普通の作業机で問題ありません。
▼その場合、このように100均のクランプを使って机に板を固定すると作業がしやすいです。
▼ワックスが傷つかないように先端には合皮などでカバーを作ります。
好きなサイズの皮をホッチキスでとめればOK。
▼椅子で作業する場合、ヤスリ等を使う位置の高さは重要です。
座って胸の前にくるようにすると力を加減しやすく姿勢も良くなります。
譲ってもらった椅子と机の高さを合わせる為に私は木のブロックを敷いています。
★スタンドライト
手元を明るくするために是非とも欲しいアイテムです。
LED式でアームが自由稼動するものが良いと思います。
下のものはニトリで3,000円くらいで買いました。
普通にデスクワークにも使えますので無駄にはならないと思います。
★ヤスリ各種
ブロックを平らにしたり大きく削るのに使用するヤスリ。
下の二本は基本的なワックスヤスリ。
真ん中の太いのと上のカンナはワックスを平らにするのに活躍します。
カンナはホームセンターの工具売り場、大ヤスリはハンズで買いました。
▼上記基本のワックスヤスリに加えて真ん中の油目ヤスリ。
目が詰まりやすいですがワックス面が綺麗に整います。
上の二本はホームセンターで買った木材に両面テープで紙やすりを巻いたものです。
さらに綺麗に表面を整えます。
このペーパースティックは地金細工にも使います。
私がよく使っているのは3Mの乾式400番手です。
▼上記ヤスリの届かない場所には精密ヤスリセットを使います。
手汗が酷いのでずいぶん錆びてますがワックス程度には問題ありません。
左から甲丸(中)、甲丸、笹葉、四角、丸、三角、ナイフ形、平の大中小
特に甲丸、三角、丸、笹葉、平は買っておくと便利です。
ヤスリが入らないなぁ…と思ったら買い足す感じでOKです。
面倒な方は彫金道具屋さんで精密ヤスリセットを買いましょう。ちょっと高いですけどね。
★計測道具とそのた切削道具
正確に彫るためにはこれらの道具も揃えておいた方が良いでしょう。
右から
デジタルノギス…立体物のサイズ計測の基本です。980円とかで買えます。
ジュエリー定規…丸の中心や直角を図れます。そこそこのお値段。無くても良い。
直角定規…直角を図ります。ワックスだと切削にも使えます。ホームセンタ-で。
鉄定規…0.5mmを図るのに必要です。
スライディングゲージ…裏抜きをした時等にワックスの厚みを測ります。今回は使いません
スプリングコンパス…ワックスや地金に平行線を引きます。多用します。
カニコンパスでもOKですが細かい調整が大変です。
▼スパチュラ各種、マイクロナイフ(小さい彫刻刀)、カッターナイフ、メス等。
作りたいものにあわせて使えそうなら使います。
ハブラシはワックスの削りカスを掃うのにあると便利。極細やわらかめ推奨。
シャーペンの軸には縫い針が刺さっています。
こちらは先端をマイクロナイフよりもっと細い刃物に砥石で加工してあります。
▼針の先端はこんなかんじです。
▼マイクロナイフとの比較。
かなり細かい細工の時にしか出番はありません。
▼スパチュラは1種類しか使っていません。
ほぼこれ1本ですが、切れ味が悪いと研ぐのでどんどん短くなります。
場所によって使い分けるので今は実質3種類と言え無くもないですね。
★ワックスペン
慣れていてもワックスが途中で折れたり削りすぎたりします。
そんなときに必要になるのがワックスペンです。
原理的にはハンダゴテの小さいやつです。
写真のようなペン先と本体が分離したものは1万円以上します。
はじめは
こちらの小型の電池式のものを用意すると良いでしょう。
初めての方ほど良く折りますので必須アイテムと言えるでしょう。
▼私は細かい箇所の修正用にペン先を加工しています。
一番細いペン先を削って裏からドリルで穴を開けて折った縫い針を通してあります。
★裸眼
近視の方にオススメなのが、裸眼で見る事です。
私は極端に視力が弱く、乱視ももっており、かつ老眼気味です。
メガネをかけた状態だと細かい箇所にどうしてもピントが合いません。
これはヘッドルーペや拡大鏡を使ってもどうにもなりません。
だまされたと思って一度メガネを外して裸眼を試してください。
作業中に確認する時や、細かい箇所を彫る時だけで大丈夫です。
綺麗に出来たと思ったのにこんなにガタガタだったのか…!と驚愕するかもしれません。
主な道具はこれくらいです。
地金になってからの仕上げ道具はまた別にいくつか必要です。
次項からはいよいよ作成に入ります!